在原業平ゆかりの地を行く(31)


33.業平橋 (東京都墨田区)

 在原業平が亡くなった場所に業平塚が建てられ、この塚に関係した業平天神社がその昔あったので、その近くにあった橋の名の由来になったとの言い伝え。
 伝説が伝説を生んだような話で史実とは言い難いし、諸説あってよく分かりません。


 『伊勢物語』第九段は東下りの話で、京から三河の国と駿河の国を経て武蔵の国に着き、隅田川の渡し船に乗る際に昔男(在原業平)はこう詠んだ。

    名にし負はばいざこと問はむ都鳥 わが思ふ人はありやなしやと

 “こと問はむ” に因んだ「言問橋」は、業平橋から北西方向に徒歩約10分のところにあります。
 ただ、この言問橋は上の和歌が詠まれた場所とは違うところのようです。(詳細不明)




業平橋
201812296392A.jpg







201812296393A.jpg

東京スカイツリーのてっぺんがフレームに入りきらず。







201812296385A.jpg

東武伊勢崎線「とうきょうスカイツリー駅」は以前は「業平橋駅」だった。







201812296390A.jpg

業平橋の周辺は業平の地名。
兵庫県芦屋市にも業平橋と業平の地名がある。





業平橋 (近くの隅田川には言問橋が架かっている)





≪参考≫

業平橋いろいろ

(1)兵庫県芦屋市の業平橋 →

(2)奈良県生駒郡斑鳩町の業平橋 →

(3)不退寺(奈良市)境内の業平橋 →



在原業平ゆかりの地を行く(30)



32.長岡天満宮

 長岡天満宮がある長岡京市は桓武天皇が平城京から都を遷して長岡京を造営したところで、
 天満宮のあたりはもとは菅原道真の所領だったそうです。
 道真は在原業平らと共に、この長岡の地でしばしば詩歌管弦を楽しんだと伝わっています。

 『伊勢物語』 には、長岡ゆかりの段がふたつあります。
 ひとつは第五十八段で、風流な色好みの男が長岡に家を作って暮らしていた話。
 もうひとつは第八十四段で、平安京で宮仕えしているのでなかなか会いに来てくれない息子 (業平) に、
 長岡に隠棲している母 (伊都内親王) が年老いたので会いたいと詠んだ歌を書いた手紙を出した話。
 業平はその手紙を読んで、泣きながら母親の長寿を祈る歌を詠んだ、とこの段を結んでいます。
 とかくプレイボーイ的な一面だけを見られがちですが、
 母思いの心優しい人物でもあったことを伺わせるエピソードですね。
 内親王と業平の歌のやりとりは、古今和歌集にも載っています。




長岡天満宮
201705200323aA.jpg








201705200320A.jpg








ここでも昭和な女の子が手水の作法を教えてくれます。
201705200330A.jpg







八条ケ池
201705200334A.jpg
境内の東にあるこの池には、料亭の座敷部屋がせり出している。







≪余談1≫

 菅原道真は在原業平の20歳ほど年下。
 道真を大宰府へ追いやった藤原時平は、業平の46歳ほど年下。
 在原業平の孫娘はお爺ちゃんのDNAを受けついだ美貌で評判の女性で、藤原時平は彼女を妻にした。




≪余談2≫

 奈良・不退寺の本堂には、業平の父・阿保親王坐像だけでなく、母・伊都内親王の位牌も安置されています。




≪余談3≫

 業平の母・伊都内親王は、桓武天皇の皇女。
 内親王が山階寺 (いまの興福寺) の東院西堂に香灯読経料を寄進したときの願文 『伊都内親王願文』 は
 三筆のひとり橘逸勢の書と伝わるもので、天長十年 (833) 年九月二十一日の日付があり、
 最後に 「伊都」 と内親王自筆の署名が残されています。
 この願文は御物、つまり皇室の私有品になっています。
 なかなか実物を拝見する機会がありませんが、国立国会図書館のサイトで写真が公開されています。 →
 20コマ目に内親王自筆の署名が見えます。
 大昔の人や伝説的な人の自筆署名を見ると、ぐっと身近な存在に感じます。
 しかもこの願文には内親王の手形が朱で捺されているので、ますますその感を強くします。
 (上記のサイトのモノクロ写真では、不鮮明でよく分かりませんが)







長岡天満宮





業平忌2017



在原業平の命日にあたる5月28日、ゆかりの奈良・不退寺で業平忌の法要があり、
今年2017年も参列することができました。

この日の拝観料は、通常よりお高くなります。
昨年は山門の受付で拝観料を払う際に拝観パンフレットのほかにお菓子(落雁)を頂けましたが、
今年はさらに記念の散華も1枚頂けました。

また、この日だけ多宝塔の中に入って壁板に描かれている真言八祖の絵を拝見できます。
絵はかなり剥落していて、少々心配です。


定刻になると、近隣の真言律宗寺院のお坊さんたちが本堂へ入堂。
昨年と同じように、海龍王寺のイケ住、般若寺の若い坊さんもおられました。
三礼のあと、奠供(四智梵語)、散華、慶讃文、前讃 (不動)、理趣経、後讃 (仏讃)、阿弥陀大呪、
真言 (聖観音、不動、光明、南無大師遍照金剛、南無興正菩薩、南無在原大明神、南無業平朝臣、・・・)、
廻向、懺悔随喜。
そして三礼で法要が終わりました。
(法要次第は貼り出されていたのでメモした)。

理趣経を大勢で唱えられると、トリップ感を少し感じますな。
光明真言 (オン・アボキャ・ベイロシャノウ・マカボダラ・マニ・ハンドマ・ジンバラ・ハラバリタヤ・ウン) も
お気に入り。 ちなみに、「ベイロシャノウ」 は毘盧遮那 [びるしゃな] のこと。

法要の終わりのほうで、お堂の外でウグイスがさかんに鳴いていたのが印象的でした。




201705280545A.jpg








201705280542A.jpg


山門に出ていた案内が手作り感あふれていて、とてもいい感じです。

左のは昨年も使われていたもの。
マスキングテープでデコレーションしています。

右のは初めて見た。
業平自作と伝わる本尊の観音様の絵がかわいい。
セーラームーンっぽい!?




青もみじが美しい境内
201705280548A.jpg








黄ショウブの花はほぼ終わりでした。
201705280546A.jpg








本堂の中や外で見える業平格子は業平が好んだデザインとのこと。
201705280569A.jpg








記念の散華
Futaiji-Sange-11.jpg








ご朱印の当て紙
201705280607A.jpg






≪余談≫

  奈良国立博物館・なら仏像館で、たまにお出ましになるこの観音菩薩立像。

kwanon1A.jpg
(図録から拝借)


  図録の解説によると、もとは奈良市法蓮町の瑞景寺 [ずいけいじ] に安置されていた像で、
  もともとは不退寺の観音菩薩立像とセットだったことが数年前に判明。
  おそらく当初は中央に如来像があり、その脇侍にこれらの菩薩像があったのではないかとのこと。
  。。。ということは、奈良博のこの菩薩立像も業平が彫ったということになるのだが。。。





治承4年の南都焼き討ちで、不退寺も焼けたと伝わります。

0011-3.jpg

人目を忍んで、業平忌に参列していたらしい。


在原業平ゆかりの地を行く(29)



31.布引の滝(その2)

 業平が友人と布引の滝へ遊びに行った話については、在原業平ゆかりの地を行く(6) で紹介しました。

 布引の滝周辺に点在する滝ゆかりの歌碑 (布引三十六歌碑) をその記事で一部紹介しましたが、
 業平の歌碑の写真がなかったので、今回アップします



201607021259-0111.jpg


ぬきみだる 人こそあるらし 白たまの まなくもちるか そでの狭きに
( 『伊勢物語』 第八十七段)




201607021257-0111.jpg









布引の滝 (雄滝)
201607021253-0111.jpg

展望所になっている 「狭ご路も橋」 から。
風向きによっては水しぶきがかかります。
この 「狭ご路も橋」 のかたわらに業平の歌碑がある。
( 「狭ご路も」 = さごろも ?)








ロープウェイのゴンドラから布引の滝を俯瞰
201607021162-0111.jpg

このアングルで滝を見たら、業平はどう詠んだだろう。




 神戸市のHPに 布引三十六歌碑 の記事があります。→




在原業平ゆかりの地を行く(28)



30.自動販売機


 京都の在原業平邸跡を示す石碑 「在原業平邸址」 については、在原業平ゆかりの地を行く (25) で紹介しました。

 その石碑の近くに自動販売機があり、その横に空き缶の回収箱があります。
 その回収箱に、在原業平の歌が掲示されています。



201607161521-0111.jpg



見ずもあらず 見もせぬ人の 恋しくは あやなく今日や ながめくらさむ
(『伊勢物語』 第九十九段)



解説がないと、意味がワカリマセン。



201607161519-0111.jpg
※ 「ペット」 って。。。ペットボトルのことですよね?




 この歌がなぜここに選ばれたのか、勉強不足のワタクシ、よく分かりません。





検索フォーム
プロフィール

なむさいじょう

Author:なむさいじょう



阪神エリア在住のおっさん。
時間を見つけては奈良めぐり。

※2013年までの過去記事は本サイトへインポート後、一部を除いてリンクの更新等を行なっておりませんので見苦しい部分があります。ご了承ください。
※過去記事へのコメントも歓迎。

最新記事
最新コメント
カテゴリ
カレンダー
05 | 2019/06 | 07
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 - - - - - -