役行者山の護摩焚き
祇園祭の山鉾のうち、おそらく最も“奈良度”が高いのは、役行者山でしょう。
※ 祇園祭・役行者山保存会HP → ★
後祭の山鉾巡行の前日、聖護院から山伏姿の大勢の僧侶がやってきて、会所の前で護摩焚きが行われます。
ワタクシ、公道上で行われる護摩焚きを見るのは初めてです。
もちろん、車両通行止めになっています。
この日、現地に到着した時にはすでに行事が始まっていて、周辺は見物客であふれていました。

(聖護院で調子こいて法螺貝を吹いたことあり)
本当の聖護院の山伏かなどの山伏問答、矢を放って場を清める儀式の後、いよいよ護摩壇に点火。


白い煙が立ち上り、火事に間違われないかと心配になりました。



あまりの暑さのため、最後まで見届けることは断念しました。
(この日の京都市の最高気温は、38.7℃!)
≪余談≫
役行者山の会所の敷地には井戸があって、役行者の生地とされる吉祥草寺(奈良県御所市)と通じているらしいです。
夕方のお勤め体験(福智院)
JR西日本の 「ちょこっと関西歴史たび 奈良・高畑」 キャンペーン。(2018年7月1日~9月30日) ★
奈良市写真美術館のあとは、同じ高畑界隈にある福智院へ。

本尊・地蔵菩薩坐像

(チラシから拝借)
7月7日~9月29日の土曜日(8月4日と11日は除く)の夕方に、檀信徒向けのお勤めを体験することができます。
最近、暗唱できるようになった光明真言をお寺で唱えたかったので、迷わず参加。
本堂の大きなお地蔵さんの前で僧侶から本尊の説明を受けた後、
勤行の経本を渡され、通しで一度、練習がてら読み上げます。
椅子に座ったままでOKです。
そしてポイントになる部分を再確認してから、本番の読み上げです。
光明真言はしっかり唱えることができましたが、虚空蔵菩薩の真言は経本を目で追いながらも噛みまくり。
それでもなんとかお勤めを終えることができました。
ありがとうございました。
出されたお茶を頂きながら高揚した気分を落ち着かせていると、
お堂の外から気持ちの良い風が入ってきました。
キャンペーン限定ご朱印が数種ありますが、ワタクシは選択の余地なし。

奈良市写真美術館
JR西日本の 「ちょこっと関西歴史たび 奈良・高畑」 キャンペーン。(2018年7月1日~9月30日) ★
新薬師寺のあとは、奈良市写真美術館 へ。

このキャンペーンに参加している寺院の特別ご朱印を提示すると、入館料が2割引きです。(¥500→¥400)
展示中なのは、入江泰吉写真展「奈良を愛した文士と高畑界隈」と、川島小鳥写真展「つきのひかり あいのきざし」。



前者の写真展では、東大寺観音院の上司海雲、志賀直哉、會津八一、武者小路実篤、谷崎潤一郎、杉本健吉など
高畑サロンゆかりの人々が中心に登場。
ひと昔前の高畑界隈などでの風景写真には、亀井勝一郎、和辻哲郎、堀辰雄らの文が添えてあって、
今では体感できないような奈良の風情というものが感じられました。
集合写真の中に、新薬師寺の住職だった福岡隆聖師のお姿を見つけました。
新薬師寺の拝観のしおりにあるのは、師の絵です。

(新薬師寺 拝観のしおりから)
師は東大寺二月堂修二会(お水取り)の練行衆として参籠されたことがあり、修二会の絵も残されています。
以前、日本画家の中田文花さんがお水取りについてのお話し会で師の絵を披露され、
練行衆を体験しなければ描けない絵ですよ、とおっしゃっていました。
後者の写真展の川島小鳥氏といえば、写真集『未来ちゃん』。
参考記事1 → ★
参考記事2 → ★
参考記事3 → ★
こぼれ落ちそうな瞳の未来ちゃんは、いったい何を考えているのでしょうか。
いまどきのニッポンにこのような風土があり、その中で鼻たれっ子が現存しているのに驚きましたが、
どこかほっとさせてくれて、何度見ても飽きません。
奈良市写真美術館での「つきのひかり あいのきざし」展の作品は、奈良県五條市出身の女優・尾野真千子を迎えて、
今回の写真展のために台湾と故郷の奈良で撮影されたもの。
ワタクシ、役者としての彼女を見たことがないので、先入観なしに作品を見ることができたかも知れません。
展示作品のほとんどがB/Wなのも、見る人の先入観を薄める効果を狙ったとも考えられます。
おそらく実家のある旧西吉野村での撮影でしょう、家族や友人と写っている様子は、田舎のコそのままです。
『未来ちゃん』 の延長線上にある作風と思います。
氏の作品は被写体との独特の距離感を持った画作りで、特に若い人たちに人気があるようです。
館を出るとき、入れ違いに若い人たちが写真展を見に入っていきました。
おそらく川島小鳥写真展が目当てだと思う。
≪余談≫
奈良市写真美術館に行くと、写真展を見終わってから資料閲覧室に行き、
気に入った写真集を選んで椅子に座ってのんびり眺めることが多い。
今回手にしたのは、奈良原一高の写真集。
ワタクシの好きな写真家のトップ5のひとりで、学生時代からよく見ていました。
『未来ちゃん』 も資料閲覧室にありますから、時間があればぜひ見て欲しい。

平重衡を追う(68)~ 重衡忌2018


ということで、今年も安福寺さんへお参りに行ってきました。
834回忌です。

こどもせっぽう 「人の悪口を言うたび、自分の心に傷がふえてしまうよ」・・・大人への説法でもありますな。


“いつも世話になっています。”
寺伝では、首から下が埋葬されているとか。
5月には高野山の重衡墓(首塚)にお参りしたので、今回でつながりました。

安福寺で重衡忌が行われていることをなるべく多くの人に知って欲しいとご住職。
そういうこともあって、堂内撮影・ブログ掲載OKいただきました。
法要後、ご住職をはじめ参列の方々から興味深いお話を伺うことができました。
ご縁を頂き、ありがとうございました。
≪余談≫

この時期の首洗い池はやはり夏草ボーボーで、よく分からない状態。
首洗い池一帯の住宅は、通称 「重衡住宅」 と呼ばれているそうです。
通称なので地図などには出ていませんが、地区のゴミ収集ステーションに書いてあった。

JR奈良線の土手向こうに、安福寺さんの屋根の一部がチラ見え。
重衡の十三重塔の背後に、かなり歴史を感じさせる石仏が並んでいます。

ご住職のお話にあった、芸事の向上を叶えてくれるというお地蔵さんは、中央の立像かな?
安福寺さんから直線距離にして北西方向約100mのところに、水溜まり(首洗い池)が見える。
景清地蔵・おたま地蔵(新薬師寺)
JR西日本の 「ちょこっと関西歴史たび 奈良・高畑」 キャンペーン。(2018年7月1日~9月30日) ★
キャンペーンに参加している新薬師寺、奈良市写真美術館、福智院を訪ねました。
(不空院は可能なら後日訪問するかも)
新薬師寺では、本堂の西側の香薬師堂に安置されている景清地蔵とおたま地蔵を拝観。(拝観日限定、要予約)
普段は非公開ですが、ご住職が案内と解説をしてくださいます。
景清 [かげきよ] 地蔵は明治時代の初めに近隣の地蔵堂から移されたものとのことですが、
源頼朝の暗殺を企てたといわれる平(悪七兵衛)景清の伝説があります。
(JR東海 「うましうるわし奈良」 大和をかし話から → ★)
ただし、昭和59年に修理調査中に胎内仏(おたま地蔵)とともに納入文書が見つかり、
その記述内容から、残念ながら景清とは直接関係ないことが分かりました。
いまの景清地蔵は錫杖の代わりに弓を持っています。
景清伝説を補強するために誰かが持たせたのかも知れませんが、
伝説があるのは景清に係る何かがあったのではと想像が膨らみます。
おたま地蔵は胎内仏と聞いていたので、とても小さなお像を想像していましたが、
外側の仏像(景清地蔵)と大きさがほぼ同じで驚きました。
お堂の外のセミの鳴き声にかき消されてご住職の説明がよく聞こえませんでしたが、
安産の仏さまとして信仰されてきて、玉のような子が産まれるようにということで「おたま」になったとか(?)
おたま地蔵は裸形像で、陰部が蓮の花の蕾になっています。
新薬師寺HPから → ★
香薬師堂での拝観の前に、本堂でもご住職の案内と解説がありました。
本来、堂内撮影禁止ですが、ご住職から特別に許可が出て、
本堂東側の壁に埋め込まれているステンドグラスの撮影ができました。
本尊の薬師如来は、正式には薬師瑠璃光如来と言います。
その名の由来となる瑠璃の光が堂内に差し込む様子は、素晴らしいものでした。


香薬師堂



本堂



≪余談≫
香薬師堂内の厨子の上に山号が書かれた扁額が掲げられていますが、
圓照寺第六世門主の文秀女王さまの筆と分かって、感激しました。