重源さんゆかりの湯屋



初めて一般に公開されている東大寺大湯屋。 (公開期間:2017年7月1日~31日)

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その内部に置かれた鉄湯船は、俊乗房重源さんが願主となって鋳物師・草部是助 [くさかべ これすけ] に造らせたことが、
その横腹の刻銘で判明しています。


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   東大寺大湯屋訪問の弊記事 →




刻銘は今ではサビでほとんど判読できませんが、江戸時代、もっと文字が読める状態のときに記録されていました。

    敬白
     造東大寺大勧進
      大和尚南無阿彌陀佛
     建久八年丁巳閏・・・・
      豊後権守・・・・


(この部分が書かれている 『東大寺年中行事記』 は東大寺ミュージアムで7月30日まで展示中)

ただし、江戸時代でも 「豊後権守」 以降の文字は判読できなかったようです。
なぜ 「豊後権守」 が草部是助と分かったか。





山口県防府市にある阿弥陀寺。

阿弥陀寺・本堂
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重源さんが東大寺再興のために各地に設けた別所のひとつ、周防別所だったところです。
この寺に残されている鉄宝塔の基壇にあたる部分の各側面に銘文があって、
その中に豊後権守が草部是助であることが書かれているのです。


鉄宝塔 【国宝】
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銘文 (北面)
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写真の★印の4行は以下のように刻まれています。


     鋳大工従五位下行豊
     後権守草部宿弥是助
       従五位下同助延
       従五位下同是弘




この鉄宝塔の鋳物師は、豊後権守・草部宿祢是助 [くさかべのすくね これすけ]、助延 [すけのぶ]、是弘 [これひろ] と
分かります。

銘文の別の部分には、重源さんが願主となって建久八年 (1197) に造らせたことも書かれています。
同じ建久八年なので、東大寺の鉄湯船も草部是助だけでなく、助延や是弘らも一緒に、
同じ場所で鋳造作業に加わっていた可能性がありますね。

草部是助は河内鋳物師のリーダー的存在だったようで、その当時の拠点は今の大阪府堺市美原区あたりだったようです。
  ※ 河内鋳物師に関する堺市美原区の記事 →


河内鋳物師の拠点のひとつ、大阪府堺市美原区




≪余談≫

  南都焼き討ちで焼け落ちた大仏の再鋳のために、重源さんは来日していた宋の工人・陳和卿らを鋳師として抜擢しました。
  その後、草部是助らの河内鋳物師を再鋳作業に加えたところ、宋の工人たちとトラブルとなり、険悪な状況になったため、
  重源さんは両者の間でいろいろと苦労したようです。
  そこをなんとか上手く取り成したところが、プロマネですね。

  ≪閑話休題≫







重源さんが周防国で造らせた湯屋 (石風呂) は、阿弥陀寺の境内のほかに、山口県の佐波川沿いの各地にありました。
その多くは建物用材調達などの作業員向けの保養施設で、そのいくつかは整備されて、今でも入浴体験ができるようです。

  参考:弊ブログ 「重源ゆかりの山口 (6) ~ 岸見の石風呂」 →


阿弥陀寺の湯屋
201608132534-0111.jpg

湯屋近くにある石風呂 (昭和時代製) は、毎月第一日曜日に焚かれるそうです。




阿弥陀寺にも、鉄湯船 (破片) が残っています。
鉄湯釜もあります。
いずれも鎌倉時代のものです。
河内鋳物師が造ったのかも知れませんね。


阿弥陀寺の鉄湯釜(上) と、上部だけ残る鉄湯船(下)

yugama1111.jpg





yugama2111.jpg

(いずれも図録から拝借)








「東大寺別院  周防 阿弥陀寺」
(東大寺・清水公照師の筆)
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かぎろひさん、こんばんは!

コメントありがとうございます。

暑いですね。
今の時期、暑さも雨もほどほどに願いたいものです。
墓参りして重源さんから元気を頂くようにしています。
リンクの件、承知いたしました。

行ってきました


おはようございます。

昨日、汗をふきふき、午後から歩いて行ってきました! 山歩き準備(笑)
重源さんのお墓参りからとは頭が下がりますm(__)m。

山口の記事がさらに内容をふくらませていますし、重源さん、喜ばれていることでしょう。


近々アップ予定ですが、たぶん、リンクを貼らせていただくと思いますので、ご了承ください。
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