平重衡を追う(61)~ 大納言典侍の願い



平重衡の正室 (大納言典侍) は、南都焼き討ちで溶け崩れた大仏を再び鋳造するための溶鉱炉に
夫が所有する銀・銅製品を寄進したいと、東大寺大勧進・俊乗房重源さんに依頼したところ、重源さんはこれを許した、
という話は以前の弊記事:
    ・ 「平重衡を追う(53)~ 平家に寄り添う重源」
    ・ 「平重衡を追う(58)~ 重衡忌2017」
などで紹介しました。

この話の出どころは鎌倉時代の記録書 『東大寺続要録』 の 造佛篇 で、実際の文章は以下のとおり。


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    「上人」 とは、俊乗房重源さんのこと。


201608132426-0111.jpg




ただ、後半の部分に、

    溶鉱炉に重衡の金属製品を加えようとしたところ、炉が破裂し、その金属製品は受け入れられなかった。
    あまりにも重い罪のため、大仏さまはまだお許しになっていないためか。

というような意味のことが記されています。

溶鉱炉の破裂事故が起きたのは、おそらく事実でしょう。
炉に構造的な欠陥があったか、炉の使い方に問題があったのだと思います。
ただ、焼き討ちの悲劇を知る人々に対して、事故原因を工事作業側のミスと説明するより、
大仏さまの怒りがまだ収まっていないためとしたほうが説得力ありますから、上記のような記述になったのでしょう。

重衡の金属製品は受け入れられなかったと記されていますが、
貴重な金属材料であり、再鋳に必要ですから、捨てられることはなかったでしょう。
実際には新たな炉に加えられて溶かされ、大仏さまの一部になったのではないかと考えます。



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