三津寺の仏像群


「大阪の歴史再発見」 と称する、大阪市内にある文化財に関する見学会・講演会では、最近は寺院の非公開文化財の特別公開が主に行われています。
太平洋戦争末期の大阪大空襲によって古い仏像などはほとんど焼失しているものと思っていましたが、市内の寺院には意外に多く残っているそうです。
いわゆる観光寺院ではなく市井の寺院が主対象になっていて、普段は檀家さんなどの関係者以外は入れない堂内で祀られている仏像を市教育委員会学芸員の解説やご住職の話付きで、しかも解説資料代100円で拝見できます。
市内の寺院を語るときのキーワードは 「神仏習合」 「阿弥陀信仰」 だそうで、今回の特別公開の三津寺も神仏習合の影響を受けてきたことがうかがえるそうです。



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大阪ミナミの繁華街にあります。
ワタクシが三津寺の堂内で仏像を拝見するのは2度目で、昨年2017年11月に行われた修行体験イベント 「ブッダニア」 に参加したときが最初。
このときはイベントへの参加が主だったので、仏像をゆっくり拝見できませんでした。
今回公開された仏像は、本堂と前堂に安置された約24点。
修復が完了したばかりの愛染明王坐像と聖観音菩薩坐像は本堂内特設スペースに安置され、360度ぐるりで間近で拝見できました。
薬師三尊像では、脇侍の菩薩さんの足裏のホゾに江戸時代に三津寺を再興した僧侶・真空の名などが墨書されているとの話があり、学芸員さんがその菩薩像を手に持ちながら台座からスポンと外して、参加者に足ホゾの墨書を見せてくれました。
目の前でこのような現物説明があるとは思っていませんでしたので、驚くとともに貴重な体験となりました。
貴重と言えば、参加者の中に奈良国立博物館の鈴木喜博先生がおられ、学芸員さんの解説を補完する説明があったこと。
仏像を前にして、黙っていられなかったのかも。
日本彫刻史研究の第一人者から仏像ひとつひとつについて直接お話が聞けたのですから、こんな贅沢なことはありませんでした。



今回公開された多くの仏像の中で、一番古いのが地蔵菩薩立像。
作風から10世紀後半に制作されたものらしい。
一木造り、錫杖を持たない、大きく弧を描いた眉が鼻筋に延びている、両耳たぶの下部が外側に少しはねている、太ももの張りと量感、足を覆う衣の模様など、先日拝観した安産寺の地蔵菩薩立像 (9世紀末) とよく似ています。


地蔵菩薩立像 ●
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<参考> 安産寺 (宇陀市室生三本松) の地蔵菩薩立像






大随求菩薩坐像 ●
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大随求菩薩 [だいずいぐぼさつ] はあまり知られていませんが、仏画での作例が大半で、彫像例は京都清水寺の随求堂の像などが知られているものの、数は少なく、大変珍しいとのこと。
これを拝見できたのも、貴重でした。





修復後初公開の聖観音菩薩坐像 ●
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頭部の前面材のみ11世紀のもの。
解体修理の結果、慈覚大師円仁ゆかりとされていたオリジナル像の頭部前面材だけ残して、他の部分は江戸時代に製作されたものと判明したようです。





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本堂前の灯篭(の一部)
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裏には 「・・・真空建立之 正徳四歳・・・」 の陽刻あり。
真空は三津寺再興の僧侶。正徳四歳は西暦1714年。
灯篭も立派なもので、真空は再興資金を融通できるかなりの地位にあった人か。






石造十一面観世音菩薩立像
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本堂に安置されている本尊の木像十一面観世音菩薩立像を模したもの。
境内外を仕切る塀の際に立っていて、昼間は境内側に向いていますが、夜は台座が180度回って顔が外に向くので、
塀の外から拝むことができるそうです。(夜の状態は未見)
「ラー」 は向かいののラーメン屋のもので、観音さまが唱えている訳ではありません。



暴悪大笑面を確認
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次回の 「大阪の歴史再発見」 の非公開文化財特別公開は、三津寺が所有する仏画の展示だそうです。
 →  (期間が過ぎるとただちに消えるこのサイト。某役所の真似をしなくてもいいのに)
都合がつけば、また拝見したいと思います。

※本記事の●印の写真は下記参考文献から拝借しました。




≪余談≫ 修行体験イベント 「ブッダニア」 関連記事

   ・弊ブログ →
   ・朝日新聞 →

    今年も内容の一部を変更して 「ブッダニア」 を実施予定とのこと。



<参考文献>
 『密教関係の仏教美術の保存と活用事業調査報告書  三津寺の仏像について (改訂第三版)』
   2018年4月27日、大阪密教美術保存会


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