親王院


高野山にある宿坊のひとつ、親王院。


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山門は室町時代のものらしい。



真如 [しんにょ] 親王が開基と伝わります。

真如親王でピンと来なくても、高丘親王と言えば知っている人が多いかも知れません。
波乱万丈の生涯に着想を得て書かれた、澁澤龍彦の小説 『高丘親王航海記』 で知名度アップしました。
夢の中の話がほとんどのフィクションですが、澁澤ワールドにひたった読者も多いでしょう。


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出家する前は、高丘親王と呼ばれていた真如親王。
ほかにも、蹲踞 [そんきょ] 太子、頭陀 [ずだ] 親王などの呼ばれ方もあります。


真如親王 (高丘親王)
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延暦18年(799年)生まれで、貞観7年(865年)ごろ没。
平城天皇の第三皇子。
阿保親王は異母兄。在原行平、在原業平らは甥。
薬子の変により、皇太子を廃されました。
その後、出家して東大寺に止住し、道詮から三論宗を学ぶ。
さらにその後、空海に弟子入り。


≪余談1≫
  空海の十大弟子の一人で、空海が亡くなったとき、遺骸の埋葬に立ち会ったとのこと。
  生前の空海を知る真如親王は、右手に五鈷杵を持ち、左手に念珠を持って座る大師像を描いたと伝わります。
  この大師像は高野様式または真如親王様式と呼ばれる肖像画で、壇上伽藍の御影堂に安置されています(非公開)。
  ワタクシたちがよく目にする大師像のオリジナルは、この御影堂の肖像画です。
≪閑話休題1≫



平城宮跡の北隣りにあった超昇寺(廃寺)は、真如親王の開基と伝わっています。

(参考) 超昇寺の石碑
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今は平城宮跡資料館駐車場の北側の県道104号線沿いにありますが、元は超昇寺(後期)の門前にあったらしい。



≪余談2≫
  奈良国立博物館のなら仏像館では、超昇寺創建当時のものらしい阿弥陀如来坐像が展示されています。
  (展示替えがあるので常設ではありません)
≪閑話休題2≫



東大寺の大仏さまの頭が落ちたのを修理して、史上4度あった大仏開眼会の2度目を貞観3年(861年)に実施。
同年、本当の仏教とは何かを探るために、唐に向けて旅立つ。このとき、真如親王、63歳。
貞観7年(865年)、まだ解決できない疑問を晴らすためにさらに天竺 (インド) へ向かう。
貞観8年(866年)、途中の羅越国(マレー半島の南端)で死去? トラに襲われて亡くなったとの説もある。




さて、親王院。

山門の彫りものをよく見ると。。。
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トラ?








「おっさん、よーお越し」
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トラの仲間に迎えられて、すりすりされる。
(高野山で猫に出合ったのは初めてかも)







300年以上前に建てられた蔵造りの本堂
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高野山ではかなり古い建築様式だそうです。



通された本堂は今でも電気が通っておらず、お勤めのときはロウソクの明かりだけで厳かに行われます。
本尊は不動明王坐像(国重文)で、智証大師円珍の作と伝わります。
本尊の左後ろに安置されている珍しい宝冠阿弥陀如来坐像は、聞きしに勝る素晴らしいお像。
修行のため骨と皮だけに痩せ細ったお釈迦さまの小さな像があって、
お気の毒だからこうして体にタオルをかけているのですとのお話に、ちょっとウルっと来ました。
ほかにもいろいろな仏像や仏画があって、見応えありました。
油絵で描かれた真如親王像も見せていただきましたが、おそらく明治以降に奉納されたものでしょう。
奈良博の 「白鳳展」 にお出ましになった金銅阿閦 [あしゅく] 如来立像は、霊宝館に寄託されているとのこと。
親王院住職だった中川善教師 (南山進流聲明の第一人者でもある) は、マレーシアにある日本人墓地に親王の供養塔を建てたそうです。


阿閦如来立像
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(図録から拝借)






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≪余談3≫

 親王により修理された東大寺の大仏さまは、平重衡による南都焼き討ち(治承4年・1180年)で溶け崩れました。
 そして親王が開基の超昇寺(前期)も、この焼き討ちで焼失したと伝わります。


「えらい、すんまへんなぁ」
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平重衡墓
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高野山に墓所があるのは多くの人の尽力によると思う。

≪閑話休題3≫




真如親王が唐に向けて旅立ったのも、俊乗房重源が東大寺復興のために立ち上がったのも、60歳を越えてから。
「元気出さんか、しっかりせい!」 と、叱咤激励されている気がします。




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