もうひとつの良弁杉



  「その杉が良弁杉で、二月堂の下に立っています。
   あまり大きくないのは、現在のものが3代目だからです。
   初代の良弁杉は、昭和36年9月16日に第二室戸台風が奈良を直撃したとき、
   地上から10メートルを残して折れてしまいました。
   残った木も真っ二つに引きさかれたので、杉の皮を巻いて保存に努めたのですが、
   昭和41年にとうとう枯死し、伐り倒されてしまいました。
   台風の後、良弁杉を後世に残そうとし、挿し木をして二世を育て、
   初代良弁杉のあとに植えておいたのですが、これも枯死してしまいました。
   実はいまの良弁杉は、実生で育ったものなのです。」
             (筒井寛秀著 『誰も知らない東大寺』 から)


実生 [みしょう] とは、接ぎ木や挿し木などによらず、種子から発芽し、生育した植物のこと。
あまり大きくないと書かれていますが、この本の出版(2006年)後、
10数年経っている今の3代目良弁杉は大木になっています。


201712235056A.jpg
(2017.12.23)



この本には、一般には知られていない興味深い話が満載です。
良弁杉についてもそうで、「良弁杉」 と呼ばれるようになったのは
人形浄瑠璃の 「二月堂良弁杉由来」 が初演された明治20年ごろから後のことだろうと書かれています。
二月堂の歴史のうえでは、かなり最近のことになりますね。
そしていろいろな文献から、元々は杉ではなく、櫟 [いちい] の木だったことは間違いないようです。

今の良弁杉の根元の近くには、初代良弁杉の根の一部が残っています。
枯れたからと言って、処分されずに残されているのが嬉しいですね。




もうひとつの良弁杉
201806103188A.jpg


今の3代目良弁杉が枯れたり、倒れたりしたときのための予備の良弁杉だそうです。
4代目良弁杉ですね。
どこにあるか、探してみてください。



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