さくらももこさんと奈良


ワタクシが奈良の飛鳥を巡るときは、岡寺(龍蓋寺) への急坂の途中にある 「坂乃茶屋」 でお昼を頂くのを楽しみにしていました。
古民家風のこの店は、入口付近に土産用の雑貨が置かれ、その奥に飲食用の座敷がありました。
店内を見渡すと、壁じゅうが色紙で埋め尽くされています。
その多くが、修学旅行で立ち寄った高校生グループや、合宿などでやってきた大学のサークルの連中が思い思いのメッセージを書き残したもので、“ザ・青春” が色紙からあふれていました。
ここの名物はにゅうめん(そうめん)なのですが、いつもニコニコ、お話し好きのお店のおばちゃんが一番の名物。
その人柄を慕って、大人になってから再訪する人もいたようです。

10数年ぶりにワタクシが訪問したときに店内に飾ってある色紙を眺めていると、以前と変わっていないおばちゃん、話しかけてきて、さくらももこさんが短大の研修で飛鳥へ来た時に、この店に立ち寄って書き残したのがこの色紙で、家宝なんですよ、と嬉しそうでした。
その色紙にはイラストで自画像が描かれ、「 『りぼん』 よんでね。さくらももこ 59.11.14」 とメッセージが添えられていました。
さくらさんが坂乃茶屋を訪れたこのとき、デビュー作が掲載される少女漫画雑誌の発売5日前だったそうです。
そしてもう1枚、別の色紙を紹介されました。
初めて 「さくらももこ」 のペンネームで色紙に書いてから16年後の2000年に、再訪したときに書き残したもの。
描かれているイラストはそのときは誰も知らない人はいないくらい有名なっていた、ちびまる子ちゃん。

坂乃茶屋を再訪したときの話はエッセイ 『さくらえび』 の中の 「あの日の奈良」 にあって、さくらさんが店に入るとすぐ、16年前の自分の色紙が飾ってあるのが見えたそうです。
その色紙を黙って見ていたら、お店のおばちゃんから、ちびまる子ちゃんのさくらももこさんが学生の時にお店に来て描いた色紙で、家宝なんですよ、とやはり嬉しそうに話されたそうです。
おばちゃんから 「さくらももこさんのファンの方ですか?」 と尋ねられ、どう答えていいものかと言葉が出ずに困っていたところ、おばちゃん、「・・・もしかして、さくらさん?」 ということになって、再会を喜んだそうです。
胸がいっぱいになっていたさくらさんの目が潤んでいるのを見て、おばちゃん、気付いたのでしょう。

「あの日の奈良」 にはこのあたりのことがもっと詳しく書かれていて、いたく感動的です。

さくらさんが再訪したときの色紙には、

   坂乃茶屋さんへ
   また来ます。どうかお元気で
   お過ごしください。
   MOMOKO・SAKURA

と、ちびまる子ちゃんのイラストとともに書かれていました。
さくらさん、また来ることができたのでしょうか。


いろいろな人たちの思い出が詰まっていた坂乃茶屋。
2015年1月2日、火災で全焼しました。
幸い、人的被害は無かったそうです。
火災のあと、さくらさんから新しい色紙がおばちゃん・おじちゃんに贈られたそうです。



在りし日の坂乃茶屋
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(2006年5月)



ワタクシが初めて坂乃茶屋で食事した時の箸袋
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(1983年3月)




あ、そうそう、「あの日の奈良」 には、東大寺大仏殿や正倉院のほか、東大寺塔頭の知足院にも立ち寄ったことが書かれています。
観光客のいない、静かな佇まいの知足院がとても気に入ったようです。
もっと奈良のいろいろなところを巡って、感想を書いて欲しかった。

合掌



知足院
201707241406A.jpg
7月24日の地蔵会を除いて、原則閉堂しています(境内のみの参観はいつでも可)。




※ 坂乃茶屋のおばちゃんとおじちゃん、お元気かなぁ?



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