平家女護島




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平成26年夏休み文楽特別公演の第2部を観ました。

演目は、
  ・平家女護島 [へいけ にょごのしま]
  ・鑓の権三重帷子 [やりのごんざ かさねかたびら]


いずれも、近松門左衛門の作品。



「文楽、これからもよろしくお願いします」
竹本住大夫さんが引退する際のお言葉にみなさん賛同されているようで、
なかなかの盛況ぶりでした。
落語家(サザンライト師)や、今回のプログラム冊子に投稿されている演劇評論家のお姿も。





【平家女護島~鬼界が島の段】

 平家打倒計画がばれて、鬼界が島という南の島に流された俊寛[しゅんかん]、
 成経[なりつね]、康頼[やすより]。
 島に住む海女(あま)ちゃんの千鳥というかわいい娘とデキちゃったという成経が、
 俊寛にどんな娘なんだいと問われて、出るわ出るわの、のろけ話がなかなかエロティック。
 南の島の海女さんの話なので、どこか開放的、健康的な感じです。
 ほほえましいです。小鯛や蛸がウラヤマシイ。



 ご赦免の船から出てきた使者のひとりは、意地悪な性格。
 瀬尾太郎兼康[せのー・たろー・かねやす]。
 あの瀬尾(妹尾)だ。

   平家物語によると、
   対立する南都(奈良)の大衆[だいしゅ](≒僧兵)を平和裏に鎮圧させようと、
   あまり武装せずに南都へ派遣された妹尾兼康らが、大衆にボコボコにやられた。
   これに激怒した清盛は、五男・重衡[しげひら]を総大将とする平家軍を南都へ派遣。
   これが、南都焼き討ち事件となった。
   治承4年(1180)12月28日のこと。
   ただし、平家物語では、せのーさん、お芝居のような性格は書かれていなくて、
   平家のために一所懸命がんばっています。



 吉田簑助さん遣う千鳥ちゃんが、もー、かわゆくて、かわゆくて。
 南の島の若い海女ちゃんなので、小麦色のおねいちゃんが出てくると想像しましたが、色白でした。
 でも、よろよろの俊寛が瀬尾とバトルしているときに加勢するなど、千鳥ちゃん、けっこう気が強そー!



ええカッコしたけど、やっぱり帰りてぇ~
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※平家物語によると、島に取り残された俊寛は自ら食を断ち、餓死。享年37歳。
 俊寛の娘は尼になって奈良・法華寺に入った、とのことです。





<余談1>

 『平家女護島』は、通常は二段目の「鬼界が島の段」のみが上演されるようですが、
 本来は五段構成。
 せっかくなので、どんな話なのか、全編ざっと読んでみた。
 (日本古典文学大系50 「近松浄瑠璃集(下)」 岩波書店)

 面白い!
 平家物語に出てくるエピソードがたくさん取り込まれていますね。
 俊寛たちのほか、後白河法皇、平清盛、平重衡、平教経(能登守)、平重盛(小松殿)、
 平知盛、斎藤実盛、有王、文覚上人、常盤御前、牛若丸。。。
 チーム平家物語のメンバーがたくさん登場しますよ!

 二段目だけではもったいないなあ、ほかの段もぜひやって欲しいですね。
 四段目は、人形劇だからこそ出来そうなスペクタクル。一度観てみたい。

 以下、超概要です。

 [初段]
  南都焼き討ちした平重衡が京へ凱旋。
  土産は、南都の大衆らの首と、焼け落ちた大仏さんの頭!(車で持ち帰っただと?)、
  そして生け捕りにした俊寛の妻・あづまや。
  あづまやは、武装して奈良・法華寺に潜んでいるところを捕まった。
  そのあづまやは美人なので清盛の女になれと言われるも、自害。
  大仏さんの頭に潜んでいた文覚上人(源氏シンパ)が突然現れて、
  源義朝のしゃれこうべを奪って、姿を消す。

 [三段目]
  源義朝の元妻・常盤御前が登場。
  清盛の妾になった常盤御前(史実ではないようですが)は屋敷近くを通った男たちを
  色仕掛けで夜な夜な屋敷の中へ。
  屋敷では、怪しげなことが。。。。

 [四段目]
  平清盛は後白河法皇を暗殺しようと海へ突き落とした。
  そこへ千鳥ちゃん登場。
  海女ちゃんですから、泳ぎ・潜水は得意です。
  千鳥ちゃんのおかげで法皇は無事助けられましたが、
  怒った清盛は千鳥ちゃんを捕まえて殺害!(かいわいそう)
  その後、都に戻った清盛は熱病に倒れる。
  そして、あづまやと千鳥の亡霊による恨みの炎に焼かれて、
  「あつやあつやの焦がれ死に、生き火葬とは是やらん」で、清盛死す。

 [五段目]
  文覚上人が再登場。
  平家追討の院宣が出たので、伊豆にいる源頼朝のもとへ向かいます。
  途中、義朝のしゃれこうべを枕に寝ていた文覚上人、壇ノ浦で平家が滅ぶ夢を見ていた。
  波間に消えていく平教経。
  波の音で目が覚めた文覚上人。
  波の音と思ったのは、「草の葉渡る風の音」だった。





<余談2>

 [三段目]の原文に、獨角獸(うにこうる)という奇妙な動物の名前が出てきます。
 平重盛が病気になったのは、恩知らずの源頼朝が呪いの人形を熊野大社へ納めていたから、
 というような話の中で出てくるのですが、補注を見ると、「うにこうる」は一角獣のことのようです。
 一角獣はユニコーン
 なまって「うにこうる」になったか?
 近松門左衛門はユニコーンを知っていた、ということでしょうか。







※長くなったので、鑓の権三重帷子についてのコメントは省略します。


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京都・伏見の京橋(本物です)
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舞台のセットでは、橋の欄干の灯篭に「寺田屋」と書いてありました。
近くにある例の寺田屋のことでしょうね。





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かぎろひさん、こんにちは!

コメントありがとうございます。

今年の夏休み公演の第一部、とても評判だったようですね。
ワタクシも同じく、古典モノと並行して、新作モノもどんどんやっていただきたいと思います。

字幕も見ながら、イヤホンガイドも聞きながらのワタクシのような初心者は、
じっくり舞台に集中できず、古典モノだけでは一過性の観客になってしまうかも。
今の価値観では納得できない理不尽な話や、けっこう残酷な場面も多いし。

三谷幸喜の「其礼成心中」は面白そうですね。
とにかくいろいろな角度で楽しめればいいと思います。

脱線ばかりのしろーと観劇記事なので、ファン層の拡大には貢献していないと思いますよ。(笑)
最近は、文楽ゆかりの地めぐりが楽しいですね。
今回の演目に関連して平家物語を読んだら、
俊寛とその娘や有王の話で目頭が熱くなってしまい、
機会があれば天野へハイキングに行きたくなりました。

新作にも期待

こんばんは!

夏休み公演、8月4日までだったんですね。
第一部のかみなり太鼓や西遊記が見たかった。

最近、新作文楽も盛んですよね。三谷幸喜の「其礼成心中」など、タイトルから大受けです。
近松門左衛門の頃はきっと新風を吹き込んだ芸能だったのでしょうから、古典にこだわらず、どんどん新作上演してほしいなあと大いに期待しています。

あ、でも、なむさんの解説にかかれば「平家女護島~鬼界が島の段」もたっぷり楽しそう。ファン層の拡大に貢献されていそうですよ。
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阪神エリア在住のおっさん。
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